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会長挨拶

摂食嚥下リハビリテーション学分野 同門会会長 大瀧 祥子
 この度、同門会会長をご拝命いたしました大瀧です。大役ではございますが、OBとして教室の名に恥じぬよう、精進したいと思います。なにとぞよろしくお願いいたします。
 さて、私は、現在秋田市で開業しておりますが、一開業医としても、摂食嚥下リハビリテーションに携わっています。依頼されるのは、近隣の療養型の病院であったり、老人保健施設であったり、介護施設であったり、在宅療養に移行されてからであったり様々ですが、多くは「回復期でSTの訓練へ行くコース」から外れた患者さんです。STは病院配置が主体ですので在宅で長期に機能を見ていくのは歯科医師が適切なのではないかと思っています。経腸栄養から経口摂取という場合もあり、内視鏡での観察もしますが、内視鏡をしなくても、日々の観察を重ねていけば食形態のアップもできるケースもあります。経口摂取していても急性期病院でひとたびペースト食となると、その後施設側の判断では戻せないと悩んでいるケースもあります。歯科医師としては気を引き締めなければならないのは、かねてから義歯に問題があり、「歯がないならペースト」とステレオタイプに判断されて、以降そのままをひきずってしまうことです。義歯不適合が体調不良時には大きなリスクとなり、さらに医学的に回復したとしても生活の場に戻った時にQOLの回復を阻む要因となるのです。単に食形態があげられないということだけでなく、介護力によっては望んだ場に帰ることすらできなくなる場合もあります。外来だけ診ていると口の中だけに終始し、処置の効果についても患者さん任せになりがちですが訪問診療で機能に向き合うことでいやおうなしにその責任を感じさせられます。
 私たちの摂食嚥下リハビリテーション分野は前身の加齢歯科から数えれば20年の歴史となるわけですが、まだまだ新しい領域として見られることも多いです。ビジネスとしての差別化を狙って学んだわけではありませんが、いまだに「これからの歯科には必要だよね」など言われつつも、ちょっと変わったことをしている人として見られていると感じることもあります。周囲に仲間が少ないことに孤独感を感じることもありますが、求められることを日々、こなして、地域の役に立てるようにしていきたいと思っております。また、後輩の皆さんのちょっとした相談に乗れるように自分を磨いていければと思います。同門会の役割もそこにあるように思います。歯科医師だけでなく多職種の先生方がかかわられているのも分野の特徴です。末長くお付き合いいただき、高めあう存在でありたいと思います。